2012年12月3日月曜日

石垣島の人類学的発掘調査

生命歯学部1年   金 堯中
             下 和也


嵩田植物園内の岩陰の発掘区域の設定

  私たちは、平成24年8月7日~12日まで、解剖学第1講座の吉田先生の石垣島人類学的発掘調査に参加したのでその様子を報告します。きっかけは吉田先生の病院医療概論の授業です。古人骨の顎顔面周辺の病変や明治初期に作られた長崎大村藩主の総義歯の実物資料を見せてもらい、興味を覚え授業後吉田先生に質問をしているうちに、調査に誘われました。
 吉田先生は文科省の研究費、新学術領域「サンゴ礁学」に慶応大学・御茶ノ水女子大学の先生方と合同で、サンゴ礁の「ヒトと自然の絡み合い」について、今まで4年間調査を続けているのだそうです。石垣島は新空港建設工事の時「竿根田原(サオネタバル)遺跡」から約2万年前の人骨が見つかり有名になりました。いざ、私達も古い人骨を探すために発掘調査に挑みました。場所は名蔵地区にある嵩田植物園内の岩陰です。近くでは慶応大学の山口先生とその学生さんたちが名蔵浦田原地区で考古学の発掘調査をしていました。宿や食事は慶応大学の皆さんと一緒でした。


 
慶応大院生島崎さん(中)の指導を受けながら発掘調査をする下(左)と金(右)

 8月7日に発掘用具を準備して、8日に調査を開始しました。嵩田植物園の岩陰は植物に覆われ、蒸し暑く熱帯雨林にいるようで最初、ちょっと逃げ出したくなりました。でも、1m×2mの発掘場所を設定してから私達は頑張りました。考古学的な調査も必要なため、慶応大学のほうから考古学専攻の大学院生の島崎さん(偶然にも本学6年生の島崎美奈子さんと4年生の島崎篤士さんのお兄さんでした。)が指導に来てくれました。三人で懸命に注意深く掘り進みました。それというのも島崎さんに「発掘はそれ自体が目標物を破壊する行為」と言われ、遺物や人骨が見つかってから破壊しない様にするために島崎さんのこの言葉を心に残しながら4日間発掘しました。

 
発掘調査終了後の嵩田植物園の岩陰調査区

 現代と過去とを結ぶ貴重な物証、そんなものに触れられる可能性に胸を躍らせながら奇跡の遺物が姿をみせてくれるのだろうか。そんな期待を持ちながら発掘を進めました。吉田先生は半分老人のため見ているだけでした。でも、汗だけは一人前にかいていました。4日目とうとう180cm掘ったところでもう何も出ないという吉田先生と慶応大の山口先生との判断で見切りをつけました。
いつの時代も先進の技術、豊かな文明を目指し人々は模索し、邁進し続けている。人間はどこまで貪欲により良い未来を求め、突き進んで行くのでしょうか。だが時として、過去を振り返り、先人達の偉業からの恩恵を受けて、私達があることを忘れてはならないと思います。遺物の放つまばゆい光を感じる機会が訪れることを私達は願ってやみません。短い時間でしたが有意義な時間を過ごせて楽しかったです。

(平成24年11月6日記)